「キエーロ」という名前を聞いたことがありますか?
キエーロは、神奈川県葉山町にお住まいの松本信夫さん・恵理子さんご夫妻が開発した生ごみ処理の仕組みです。
「キエーロ」という名称は商標登録されていますが、キエーロの考え方を広く知ってもらい、家庭で生ごみの減量に取り組んでもらうため、名称を使ってキエーロを製作・普及することが認められています。
そして、キエーロの普及を担っているのがキエーロオフィシャルです。
私自身も、キエーロについて学び、普及活動を行うキエーロオフィシャル認定アドバイザーとして活動しています。
このブログでも、実際にキエーロを使ってみて感じたことや、福岡市のモニター結果、自治体での取り組みなどを紹介しています。
そもそも「キエーロ」って、どんなもの?
キエーロは、
「生ごみを土に埋めるコンポスト」の一種です。
基本的には、箱に透明な板を斜めに取り付けた構造になっています。
この透明な板によって、箱の中に雨が入りにくくなるとともに、空気が通る構造になっています。
従来のコンポストのような密封空間を、あえて作らないのがキエーロの特徴です。
そして、箱の中には土を入れます。
生ごみを土の中に埋め、土と混ぜることで、土の中の微生物が生ごみを分解していきます。
つまり、
生ごみを分解する微生物が働きやすい環境をつくった、生ごみ処理の仕組み
言わば、「微生物のおうち」のようなものです。
もう一つの特徴は、場所を変えながら、生ごみを入れ続けられることです。
一般的なコンポストは、ある程度生ごみを入れたら、いったん寝かせたり、取り出して堆肥にしたりする工程があります。
一方、キエーロは堆肥にする必要がありません。生ごみを入れた場所を避けて、別の場所にまた投入する。それを繰り返しながら、長く使い続けることができます。
この「堆肥にする工程がない」ことが、キエーロの大きな使いやすさにつながっています。
キエーロには2つのタイプがあります
キエーロには、大きく分けて2つのタイプがあります。
地面に直接置く「底なしタイプ」
ひとつは、底がなく、地面に直接置いて使うタイプです。
庭など、土のある場所に設置します。
地面とつながっていて水分調節が比較的簡単なので、どちらでも置けるという場合は底なしタイプがおすすめです。
庭や畑など、土のある場所がある方に向いています。

ベランダでも使える「底ありタイプ」
もうひとつは、底があるタイプです。
こちらは地面から離して設置できるため、庭がなくても使うことができます。
ベランダなどにも置くことができます。

「生ごみを減らしたいけれど、庭がない」
という方にとっては、こちらが選択肢になります。
ただし、ベランダなどで使う場合は、容器の重量や置き場所、集合住宅の規約なども確認しておきましょう。
キエーロに入れる土は?特別な資材は必要ありません
キエーロは、基本的に特別な資材は必要ありません。
普通の土を入れて使います。
よくおすすめされるのは黒土ですが、畑の土やプランターの土でも大丈夫です。
ただ、砂や粘土質のものは向かないので使わない方がいいでしょう。
微生物が住んでいる土、それだけあれば始められます。
土のことは別の記事に書きましたので、そちらも参考にしてください。
どうして生ごみが「消える」の?
ここがキエーロの一番面白いところです。
もちろん、生ごみが本当に消滅しているわけではありません。
土の中の微生物が、生ごみを分解しているのです。
土の中には、細菌や菌類など、目には見えないたくさんの微生物が暮らしています。
生ごみを土の中に入れると、微生物がそれを分解していきます。
生ごみは少しずつ形を失い、最終的には私たちから見て「生ごみがなくなった」状態になります。
つまり、
生ごみが消える
=微生物によって分解され、水分や二酸化炭素などの別の形へ変わっている
ということです。
キエーロは、この微生物の働きを利用しています。
キエーロの基本的な使い方
使い方は、とてもシンプルです。
① 表面の乾いた土をよけておく
最後にゴミを入れたところに戻すためです。
⓶土に穴を掘る
シャベルなどで土にゴミが入るくらいの穴を掘ります。
② 生ごみを入れる
穴の中に生ごみを入れます。
できれば、生ごみは小さめにしておくと分解されやすくなります。
③ 土とよく混ぜる
生ごみと周りの土をしっかり混ぜます。
ここが大切です。
微生物が働くためには、水分と空気が必要だからです。
④ 土をかぶせる
最後に、生ごみが見えなくなるように初めによけて置いた乾いた土をかぶせます。
これで終了です。
⑤次に入れる時の目印をつける
次にゴミを入れる時は、今回と別の場所に穴を掘ります。どこに入れたかがわからなくならないように、次に入れる場所にスコップや目印の木の枝などを刺しておくと便利です。
※ゴミは、毎日キエーロに入れるのでなく、数日ほど溜めてから入れるのがおすすめです。
どのくらい溜めるか、という話はこちらに書きました。
ゴミを溜めておく容器については、こちらをご覧ください。
キエーロは「生ごみを入れるとき」にお世話する
キエーロの魅力のひとつは、管理の手間が少ないことです。
コンポストと聞くと、
「毎日混ぜなければいけないのでは?」
「温度管理が必要?」
「水分を細かく調整するの?」
と思う方もいるかもしれません。
キエーロでは、基本的に生ごみを入れるときに、その場所の土と混ぜるという使い方をします。
毎日決まった時間に全体をかき混ぜる必要はありません。
生ごみが出たら、
掘る → 入れる → 混ぜる → かぶせる。
これだけです。
だからこそ、忙しい暮らしの中でも続けやすいのだと思います。
何を入れられる?
家庭から出る多くの生ごみを入れることができます。
例えば、
- 野菜くず
- 果物の皮
- 食べ残し
- ご飯
- 麺類
- 肉
- 魚
- 魚の骨
- 卵の殻
など。
ただし、生ごみなら何でも同じ速さで分解されるわけではありません。
柔らかいものは比較的早く分解されますが、硬いものは時間がかかります。
例えば骨も、魚の骨と大きな動物の骨では分解される速さが違います。
こうした「分解の違い」を観察できるのも、キエーロの面白いところです。
※「何を入れていい?」「これは分解する?」については、別記事で詳しく紹介しています。
キエーロは臭くない?
生ごみを入れるので、
「臭くならないの?」
というのは当然気になりますよね。
キエーロは、適切に使えば臭いが気になりにくいのが特徴です。
ただし、どんな状況でも絶対に臭わないというわけではありません。
生ごみが土から出ていたり、土と十分に混ざっていなかったりすると、臭いの原因になることがあります。
実際に福岡市で行われたキエーロモニターでは、30人が10か月にわたって使用しました。
その結果については、こちらの記事で詳しく紹介しています。
虫は出ない?
これも、キエーロを始める前に気になるポイントです。
キエーロだから虫が絶対に出ない、というわけではありません。
生ごみを扱う以上、条件によっては虫が発生することがあります。
ただし、土への埋め方や混ぜ方など、使い方を工夫することで虫を避けやすくすることができます。
実際に使ってわかったことについては、こちらの記事で詳しく紹介しています。
→ コンポストあるあるの虫問題。キエーロの場合、実際どうなの?
キエーロは、生ごみを「ごみ」として見なくなるきっかけ
キエーロを使い始めると、少し不思議な感覚になります。
これまでなら、
「生ごみが出た。捨てなくちゃ」
だったものが、
「これはキエーロに入れよう」
に変わっていくからです。
野菜の皮も、果物の芯も、食べ残しも、
「捨てるもの」ではなく、「土の中の微生物が食べるもの」
に見えてきます。
そして、
「これはすぐなくなった」
「これはまだ残っている」
土の中を見ていると、目には見えない微生物の働きを少しだけ身近に感じるようになります。
まとめ
キエーロは、松本信夫さんご夫妻が開発した、生ごみを土の中の微生物の働きによって分解する仕組みです。
特徴的なのは、透明な板を斜めに取り付け、空気が通る構造になっていること。
そして、
底なしタイプ → 地面に直接置く
底ありタイプ → ベランダなどにも置ける
という2つの使い方があります。
基本的な使い方は、
掘る → 入れる → 混ぜる → かぶせる。
とてもシンプルです。
そして、そのシンプルな仕組みの中では、土の中の微生物が一生懸命働いています。
生ごみを減らす。
ごみ袋を軽くする。
焼却するごみを減らす。
もちろん、それもキエーロの大切な役割です。
でも、使い続けていると、それだけではなく、
「生ごみは本当にごみなのだろうか?」
と考えるようになります。
自然の中では、いろいろな生きものの働きを通して、また次の命へとつながっています。
生ごみも、落ち葉も、枯れた植物も。
キエーロは、そんな「いのちがめぐる仕組み」を、家庭の中で感じるための小さな入り口なのかもしれません。
もっとキエーロについて知りたい方へ
キエーロについて、実際に使ってみたことやモニターの結果、困ったことなども紹介しています。
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