「コンポストをやってみたい」
そう思っても、なかなか一歩を踏み出せない。
そんな人に理由を聞くと、かなりの確率で出てくるのが、
「虫が嫌だから」
という答えです。
特に夏場の生ごみを扱うとなると、
「コバエが大量発生したらどうしよう」
「ウジみたいな虫が出てきたら?」
「虫だらけになったら、もう触れない……」
そんな不安がありますよね。
実際、コンポストを始めたものの、虫が出てやめてしまったという話もあります。
キエーロを始める前の私も、そのことに悩んでいました。
では、実際、キエーロはどうなのでしょうか。
福岡市臨海3Rステーションで行ったキエーロモニターの結果から、今回は「虫」について見てみます。
まず、正直に言います。虫は出ます
最初に、ここは正直に書いておきたいと思います。
キエーロでも、虫が出ることはあります。
「キエーロなら虫は絶対に出ません」とは言えません。
2024年度のモニターでは、8月に15人中、
- たくさん出た 1人
- 少し出た 3人
- 出ていない 10人
- コガネムシの幼虫がいた 1人
という結果でした。
11月は、
- たくさん出た 0人
- 少し出た 8人
- 出ていない 6人
でした。
翌年の2025年度も、虫は発生しています。
8月は15人中、「たくさん出た」が3人、「少し出た」が3人、「出ていない」が9人。
11月は、「たくさん出た」が3人、「少し出た」が2人、「出ていない」が10人でした。
つまり、
虫は出ることがある。
これは事実です。
でも、ここからが今回のモニターで分かった大切なことです。
「虫が出た=キエーロが使えない」ではなかった
虫が出た人たちは、どうしたのでしょうか。
2024年度のアンケートには、
「そのままにしている」
「しばらくゴミを入れるのを休んだ」
「上に土をのせた」
「数日間様子をみていたら、勝手に落ち着いた」
「幼虫がいたら取り出している」
など、それぞれの対応がありました。
中には、
「アメリカミズアブだと思うので、大切に育てている(笑)」
という、かなり肝の据わった回答も。
さらに、花壇や植木鉢で見つけた幼虫を、キエーロに入れている人までいました。
虫に対する感じ方は、本当に人それぞれです。
「絶対に無理」という人もいれば、
「まあ、いるよね」と受け入れられる人もいる。
ここは、コンポストを始めるうえで、かなり大きな個人差があるところだと思います。
では、なぜ虫が出るのでしょう
2025年度のモニターでは、虫の発生について、
- ゴミの入れすぎ
- 混ぜ方不足による通気性の悪さ
- 水分過多
などが原因として見受けられました。
そして、報告会で状況を聞き、使い方を改善してもらったところ、その後は虫の発生が減っています。
ここは、とても重要なポイントだと思います。
虫が出たからといって、
「キエーロは虫が出るコンポストだ」
と考えるだけではなく、
「なぜ虫が出たのか」を見直すことで、状況が変わることがある。
ということです。
「土をかぶせる」は、やっぱり大切
モニター参加者の工夫を見ていると、虫対策として何度も出てくるのが「土」です。
生ごみを入れたあとに、乾いた土をかぶせる。
生ごみが表面に出ていないようにする。
これは、キエーロを使ううえで基本的なポイントです。
2024年度のモニターでも、
「最初に虫が沸いたが、土のかけ方が足りなかったことが分かり解消した」
という声がありました。
「虫が出た」という結果だけを見るのではなく、
どう使ったら虫が減ったのか
まで見ることが大切なのだと思います。
実は、虫より怖いのは「虫が出たときに相談できないこと」かもしれない
今回のモニターで、私がとても重要だと感じたのがここです。
キエーロを使っていて虫が出たとき、
「これ、どうしたらいいの?」
と思っても、誰にも聞けなかったら、不安になります。
そして、
「もう嫌だ。やめよう」
となってしまうかもしれません。
2025年度のモニターでは、期間中にオープンチャットを利用し、困ったことをすぐ解決できるようにしました。
虫の発生について相談できるシステムや、使い方のアドバイスを受ける機会があることで、安心して使えたという声も報告されています。
これは、キエーロに限った話ではないですね。
新しいことを始めるとき、人は「失敗しないこと」より、
失敗したときに、どうすればいいか分かること
のほうが安心できるのではないでしょうか。
虫が出ても、大量発生して手に負えなくなったわけではない
では、今回のモニターでは、虫が大量発生して、
「もうキエーロを使えない」
という状態になった人はいたのでしょうか。
結果、
今回、大量発生してどうしようもなくなった例はなく、モニターの皆さんはそれぞれに対処して使用を続けることができました
ここは、これからキエーロを使ってみようと思っている人には、かなり大きな情報ではないでしょうか。
虫が出る可能性はある。
でも、
虫が出たら、そのまま使えなくなるわけではない。
今回のモニターでは、そういう結果になっています。
「虫が怖い」という気持ちは、無理に克服しなくていい
とはいえ、私は「虫なんて平気になりましょう」とは思いません。
虫が苦手な人にとって、虫は本当に苦手です。
写真を見るだけでも嫌な人もいるでしょうし、まして土を掘って幼虫が出てきたら、スコップを置きたくなる気持ちも分かります。
実際、モニター参加者の中にも、
「虫の発生だけは、向き合うのが難しかった」
という声がありました。
カブトムシの幼虫のようなものが出てきて、しばらくキエーロを休んだそうです。
だから、
「虫が出ても平気な人だけがキエーロを使えばいい」
ということでもありません。
虫が苦手なら、虫が出にくい使い方をする。
困ったら相談する。
一時的に休む。
自分ができる範囲で使う。
そんな使い方でもいいのだと思います。
「コンポストを続ける」ことのほうが大切
生ごみを100%キエーロに入れなくてもいい。
毎日使わなくてもいい。
冬は分解が遅くなったら休んでもいい。
今回のモニターでは、こうした「無理をしない使い方」が大切だということも分かっています。
同じように、虫についても、
「一匹も出さない」
を目標にするより、
虫が出ても、困ったときに対処できる
ことのほうが、現実的なのではないでしょうか。
虫がいることも、土の中の循環の一部
キエーロを使っていると、微生物だけでなく、いろいろな生きものが関わっていることに気づきます。
私たちは、生ごみを「処理」しようとしています。
でも、土の中では、
「これは誰かの食べもの」
として、生ごみが別の生きものにつながっていきます。
もちろん、台所の生ごみにコバエが大量発生したら困ります。
だから、虫を増やさない工夫は必要です。
でも、虫が一匹出ただけで、
「失敗した」
と思う必要もない。
キエーロを使うことは、きれいに管理された箱の中だけで完結する「ごみ処理」ではなく、土の中の生態系に生ごみを返していくことでもあるからです。
それでも虫が怖い人へ
もし、
「キエーロを使ってみたいけれど、虫だけがどうしても怖い」
という人がいたら。
まずは、そこまで心配しなくても大丈夫です。
今回のモニターでは、虫が出た人がいました。
でも、2年間のモニターを通して、大量発生してどうにもならなくなったケースはありませんでした。
そして、土のかぶせ方や水分、ゴミの量、混ぜ方などを見直すことで、虫が減ったケースもありました。
「虫が出るか、出ないか」の二択ではなく、
出ることもある。でも、付き合い方がある。
これが、今回のモニターから見えてきた、私の一番大きな収穫でした。
そして、もう一つ。
キエーロは、生ごみを入れて終わりではありません。
土を混ぜる。
乾いた土をかぶせる。
生ごみの量を調整する。
分解の様子を見る。
虫が出たら、原因を考える。
そんなふうに使っていると、いつの間にか「ごみを捨てる」という行為そのものを、少し違う目で見るようになるかもしれません。
参考記事:・キエーロの「臭いについて」



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