キエーロを始めようと思ったとき、意外と迷うのが「どんな土を入れればいいの?」ということではないでしょうか。
「キエーロには黒土を入れる」と紹介されていることが多いので、
「黒土じゃないとダメなの?」
「園芸用の土でもいい?」
「畑の土を入れても大丈夫?」
と疑問に思う方もいると思います。
結論からいうと、キエーロは必ずしも黒土でなければならないわけではありません。
キエーロオフィシャルでは、黒土のほか、畑の土、プランターで使っていた土、花や野菜の土なども使えるとしています。
さらに、実際には赤玉土や、竹チップ、剪定枝チップなどを工夫して使っている例もあります。
では、なぜいろいろな素材でキエーロができるのでしょうか。
そのことを考えていくと、キエーロにとって「土」とは何なのかが見えてきます。
キエーロに特別な菌は必要ありません
まず知っておきたいのは、キエーロを始めるために「特別な菌」を購入する必要はないということです。
キエーロオフィシャルでは、キエーロを「土の中のバクテリアのための家」と説明しています。
土の中には、もともとたくさんの微生物が暮らしています。
キエーロでは、その微生物たちが生ごみを分解してくれます。
つまり、キエーロは「特別な菌を入れて生ごみを分解する」という仕組みではありません。
もともと土の中にいる微生物が働きやすい環境をつくる。
それがキエーロの基本です。
そう考えると、「どんな土を使うか」という問いも、少し違って見えてきます。
基本としておすすめされているのは「黒土」
キエーロを始めるときによくすすめられるのが黒土です。
黒土はホームセンターなどでも手に入りやすく、キエーロの土として使いやすい土です。
では、なぜ黒土なのでしょうか。
キエーロオフィシャルでは、黒土がすすめられている理由として、肥料成分が無配合であること、比較的安価であることなどを挙げています。
つまり、
「黒土だから生ごみが特別によく分解される」
というより、キエーロに使う土として扱いやすい条件がそろっている、と考えると分かりやすいでしょう。
初めてキエーロをつくるなら、まず黒土から始めるのは、とても分かりやすい方法です。
畑の土や、使い終わったプランターの土も使えます
「黒土を買わなければキエーロはできないの?」
というと、そんなことはありません。
家庭菜園をしている方なら、畑の土を利用することもできます。
また、花や野菜を育て終わったプランターの土なども利用できます。
すでに土があるのなら、わざわざ新しい土を買わなくてもいい。
これはキエーロのいいところです。
キエーロを始めるために、特別な資材をいくつもそろえる必要はありません。
身近にある土を利用し、その中に暮らしている微生物に働いてもらう。
そんなシンプルな仕組みなのです。
ただし、砂や粘土質の土は避けます
「いろいろな土が使える」とはいっても、土なら何でもいいわけではありません。
キエーロオフィシャルでは、砂や粘土系の土は避けるようにしています。
キエーロでは、微生物が生ごみを分解するために、適度な水分と空気が必要です。
砂質の土や粘土質の土では、キエーロに適した環境をつくりにくいためです。
特に粘土質の土は、水分を含むと固まりやすく、土の中に空気が入りにくくなることがあります。
反対に、砂は水分を保持しにくく、微生物が活動する環境としては適していません。
そのため、
「土なら何でもいい」のではなく、微生物が暮らしやすく、空気と水分のバランスを保てる土を選ぶ
ということが大切です。
「土」だけでなく、ほかの素材を少し混ぜる方法も
キエーロに使う土として、基本的には黒土がおすすめです。
一方で、実際にキエーロを使っている人の中には、赤玉土、竹チップ、剪定枝チップなどを土に混ぜて使っている人もいます。
ここで大切なのは、これらを最初から「土の代わり」にするのではなく、まずは土に少し混ぜて使ってみるということです。
素材によって性質が違うため、土との組み合わせによって、それぞれの特徴を生かすことができます。
赤玉土は「通気性」を補う
赤玉土は粒状になっているため、粒と粒の間に隙間ができます。
そのため、土に混ぜることで、土の中に適度な空間ができ、通気性を確保することができます。
キエーロの中で生ごみを分解する微生物も酸素を必要とします。
土がぎゅっと詰まって空気が入りにくくなるよりも、適度な隙間があるほうが、微生物が活動しやすい環境になります。
赤玉土は、微生物そのものを増やすためというより、微生物が活動しやすい物理的な環境をつくる素材と考えると分かりやすいでしょう。
まずは土に少し混ぜて、土の状態を見ながら使ってみるのがおすすめです。
竹チップは「微生物のすみか」に
竹を細かく砕いた竹チップを、土に混ぜて使う方法もあります。
竹チップには細かな隙間があり、微生物が付着して活動する足場になります。
また、竹そのものも有機物なので、時間をかけて微生物によって少しずつ分解されていきます。
つまり竹チップには、
微生物のすみかになることと、
微生物が利用できる有機物であること
という二つの側面があります。
竹には抗菌性が知られているほか、竹の構造を利用した消臭などへの応用もあります。
ただし、「竹チップを入れれば臭いや虫が防げる」と単純に考えることはできません。
キエーロの状態には、水分、通気性、生ごみの埋め方、土との混ざり方など、さまざまな条件が関係します。
そのため、竹チップを使ってみたい場合は、まずは土に少し混ぜるところから始めて、キエーロの状態を見ながら試してみるのがよいでしょう。
剪定枝チップも同じように
庭木などの剪定枝を細かくしたチップも、土に混ぜて使うことができます。
剪定枝チップも竹チップと同じように、微生物が付着する足場になります。
また、木質の有機物なので、時間をかけて少しずつ分解されていきます。
チップの間にできる隙間によって、土の中の通気性を保つことにも役立ちます。
ただし、剪定枝は樹種によって性質が異なり、チップの大きさや枝葉の割合によっても分解のされ方が変わります。
そのため、剪定枝チップも、いきなり土の大部分を置き換えるのではなく、まずは土に少し混ぜるところから始めるのがおすすめです。
キエーロの中での分解の様子を見ながら、自分の環境に合った使い方を探していけばよいのです。
最初は「土+少しの素材」から
赤玉土、竹チップ、剪定枝チップ。
どれも土とは違った特徴を持っています。
だからこそ、最初から一つの素材だけでキエーロをつくろうとするのではなく、
基本の土に少し混ぜてみる。
そこから始めるのが安心です。
例えば、
- 黒土+赤玉土
- 黒土+竹チップ
- 黒土+剪定枝チップ
というように、土をベースにして少量ずつ試してみます。
実際に使ってみて、
「土が固まりにくくなった」
「空気が入りやすそう」
「生ごみの分解に問題がない」
「チップも少しずつ変化している」
など、キエーロの様子を観察してみる。
キエーロは、微生物の働きを目で直接見ることはできません。
だからこそ、土の状態や生ごみの分解の様子を観察しながら、自分のキエーロに合った環境をつくっていくことが大切です。
「この素材が正解」というより、
微生物が暮らしやすい環境をどうつくるか。
そんな視点で土を考えてみると、キエーロの楽しみ方がまた一つ広がります。
それぞれの素材には、それぞれの役割がある
ここまでを整理すると、こんなイメージになります。
| 素材 | 主な役割 |
| 黒土 | 微生物が暮らす土。キエーロの基本としておすすめ |
| 畑の土・使用済みの園芸土 | もともと微生物がいる身近な土を利用できる |
| 赤玉土 | 粒と粒の間に隙間をつくり、通気性を確保する |
| 竹チップ | 微生物の足場+有機物。竹ならではの性質もある |
| 剪定枝チップ | 微生物の足場+木質有機物。通気性にも役立つ |
| 砂・粘土質の土 | キエーロには適さないため避ける |
こうして見ると、「キエーロには何という土を入れるか」だけではなく、
その素材によって、どんな環境をつくることができるのか
という視点が大切だということが分かります。
キエーロで大切なのは「微生物が暮らせる環境」
キエーロの中で生ごみを分解しているのは、私たちが目で見ることのできない微生物です。
微生物が働くためには、
- 微生物が暮らせる場所
- 生ごみという餌
- 適度な水分
- 空気
- 適度な温度
などが必要です。
だから、キエーロの土について考えるとき、
「何を入れるか」だけでなく、「微生物が暮らしやすい環境になっているか」
を見ることが大切なのです。
黒土なら、もともと微生物が暮らしている土を使うことができます。
赤玉土なら、土の中に隙間をつくることで通気性を補うことができます。
竹チップや剪定枝チップなら、微生物が付着する足場になり、さらに有機物として少しずつ分解されていきます。
一方、砂や粘土質の土は、キエーロに必要な水分や空気のバランスをつくりにくいため、避けたほうがよい素材です。
素材は違っても、目指しているところは同じです。
微生物が働ける環境をつくること。
これがキエーロの土を考えるときの、一番大切なポイントではないでしょうか。
「栄養のある土」より「微生物が暮らせる土」
キエーロに入れる土を選ぶとき、
「栄養がたくさん入っている土のほうが、生ごみがよく分解されそう」
と思うかもしれません。
でも、キエーロの目的は、最初から栄養たっぷりの土を用意することではありません。
生ごみを分解してくれる微生物が暮らす場所をつくることです。
そのため、特別な菌や特別な肥料を加える必要はありません。
土の中にいる微生物に、生ごみという「餌」を与え、土の中で分解してもらいます。
そして、その過程で生ごみの有機物は少しずつ分解され、土の中に戻っていきます。
土の量と生ごみの量のバランスも大切
もう一つ忘れてはいけないのが、生ごみの量と土の量のバランスです。
キエーロは、無制限に生ごみを処理できるというものではありません。
少ない土にたくさんの生ごみを入れてしまうと、微生物の働きが追いつかず、分解がうまく進まないことがあります。
また、素材を変えたからといって、処理能力が単純に増えるわけでもありません。
気温や日当たり、土やチップの状態、生ごみの内容、水分量などによって分解のスピードは変わります。
だからこそ、最初は少なめから始めて、キエーロの様子を見ながら、自分の家庭に合った投入量をつかんでいくことが大切です。
キエーロの土は「乾いているように見える」くらいがちょうどいい
キエーロでは、土の表面を乾いた状態に保つことも大切です。
フタがあるのも、雨が土に入りすぎるのを防ぐためです。
土の表面が乾いていることで、臭いや虫を避けやすくなります。
一方、生ごみを埋めた場所の中では、水分が必要になります。
生ごみにはもともと水分が含まれているので、基本的には生ごみを投入するときに、土とよく混ぜて使います。
つまり、
表面は乾いているけれど、土の中には適度な水分がある。
この状態をつくることが、キエーロでは重要です。
赤玉土やチップなどを利用する場合も、こうした水分と空気のバランスを意識することが大切です。
生ごみを分解した土はどうなる?
キエーロを使い続けていると、
「生ごみを入れているのだから、土がどんどん増えていくのでは?」
と思うかもしれません。
ところが、キエーロでは生ごみの大部分が微生物によって分解されるため、通常は土の量が大きく増えることはありません。
これが、一般的なコンポストとは少し違うキエーロの大きな特徴です。
一方で、長く使っていくと、キエーロの中の土には生ごみ由来の養分が蓄積していきます。
その土を取り出して、植物を育てるために利用することもできます。
ただ、庭や畑のない人、植物を育てていない人にとっては、土が増えるのは困りものです。
その点、キエーロは堆肥にすることを目的とせず、そのまま長く使い続けられるところに大きな特徴があります。
「黒土を買ってこなきゃ」と思わなくても大丈夫
キエーロを始めるとき、「黒土を用意しなければ」と考えてしまう方は多いと思います。
でも、キエーロの考え方を知ると、もっと気軽に始められることが分かります。
黒土は、キエーロオフィシャルが基本としてすすめている、手に入りやすく扱いやすい土です。
でも、キエーロの本質は「黒土」という名前にあるわけではありません。
畑の土でもいい。
プランターの土でもいい。
赤玉土を利用することもできる。
竹チップや剪定枝チップを活用する方法もある。
ただし、砂や粘土質の土は避ける。
それぞれの素材には、それぞれの特徴があります。
そして大切なのは、
微生物が暮らせること。
空気があること。
適度な水分があること。
生ごみという餌があること。
そうした環境をつくることです。
キエーロは、特別な資材を次々に買い足して使うものではありません。
身近にある「土」や「植物由来の素材」と、毎日の「生ごみ」。
その二つを、微生物の力でつなぐ仕組みです。
だからこそ、キエーロの土を見るとき、
「生ごみを処理するための土」
というより、
「微生物が暮らす場所」
と考えてみると、キエーロの仕組みがもっとよく見えてきます。
土を入れて、生ごみを埋める。
それだけに見えるキエーロの中では、目に見えない小さな生きものたちが働いています。
その環境を整えてあげること。
それが、キエーロを上手に使い続けるための一番のポイントなのだと思います。



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