「生ごみを土に埋めるだけで、本当に分解されるの?」
キエーロの話をすると、よく聞かれる質問です。
たしかに、初めて聞いたら不思議ですよね。
生ごみを入れて、土をかぶせる。
それだけで、数日すると生ごみがなくなっていく。
しかも、うまく使えば臭いもほとんどしない。
でも、キエーロを紹介するときに、もう一つ大事なことがあります。
「それって、実際に使い続けられるの?」
どんなに仕組みが優れていても、最初だけ使って、そのうち面倒になってしまったら、生ごみ対策としては続きません。
福岡市では、家庭で実際にキエーロを使ってもらうモニター事業が行われています。
私もそのモニターに関わり、2024年度と2025年度、2年間の様子を見てきました。
今回は、その結果を少しずつ紹介していきたいと思います。
30人に、約10か月使ってもらいました
モニターは、福岡市臨海3Rステーションで行われました。
2024年度と2025年度、それぞれ15人。
合わせると、30人の方に家庭でキエーロを使ってもらったことになります。
使用したキエーロは臨海3Rステーションさんが製作販売している製品です。
家庭の状況に合わせて、2024年度は3種類、2025年度は2種類の大きさを選んでもらいました。
底があるタイプ、底がなく地面に直置きのどちらかも選択できました。
モニター期間は、それぞれ約10か月。
短期間だけ試してもらうのではなく、夏を越し、冬を越して、春まで使ってもらいます。
生ごみの量も、生活スタイルも、家族構成も、それぞれ違います。
だからこそ、実際の家庭で長期間使ってもらうことで見えてくるものがあります。
「理論上は使える」ではなく、
「普通の暮らしの中で、本当に続けられるのか」
そこを見ていくモニターです。
途中で困ったら、相談できるようにしました
キエーロは、使い方そのものは難しくありません。
生ごみを入れる。
土と混ぜる。
土をかぶせる。
基本はこれだけです。
でも、実際に使い始めると、
「この生ごみは入れていい?」
「なんだか土が湿っているけど大丈夫?」
「虫が出てきた」
「冬は分解が遅い気がする」
など、いろいろな疑問が出てきます。
そこでモニター期間中には、アンケートを行ったり、オンラインやグループチャットで、すぐに相談できる場を用意しました。
こうしてみると、キエーロのモニターは、単に「箱を渡して使ってください」というものではありません。
実際の暮らしの中で使ってもらい、困ったことや疑問を共有しながら、10か月間付き合ってもらう。
そんなモニターでした。
そして、気になる「継続率」
さて。
ここで一番気になるのが、
「結局、みんな続けたの?」
ということではないでしょうか。
私自身、この結果はかなり興味深いものでした。
モニターをやってみると、途中で使わなくなる人がたくさん出るのではないか。
最初は張り切っていても、忙しくなったり、夏に虫が出たり、冬に分解が遅くなったりして、
「やっぱり面倒だから、もういいや」
となる人もいるのではないか。
そんなことも想像していました。
ところが、実際に使ってもらった結果を見ると、キエーロはかなり「続けやすい」生ごみ処理方法だったことがわかってきました。
もちろん、すべての人がまったく同じように使えたわけではありません。
家庭によって条件は違います。
でも、10か月という長い期間、実際の暮らしの中で使ってもらったからこそ、
「思ったより簡単だった」
「生ごみを入れることが習慣になった」
という感覚も見えてきました。
「生ごみを捨てる」という感覚が変わる
キエーロを使い始めると、ちょっと面白い変化があります。
これまでなら、
「これは生ごみだから、ゴミ袋へ」
だったものが、
「これはキエーロに入れよう」
に変わっていきます。
野菜くずも、果物の皮も、食べ残しも。
今まで「捨てるもの」だったものが、キエーロの中では「土の中の微生物が食べるもの」になります。
そうすると、生ごみを見る目が少し変わってきます。
私がキエーロを面白いと思う理由の一つは、ここにあります。
生ごみを「減らす」というだけではありません。
ゴミだったものが、土の中の小さな生きものの食べものになる。
人間から見れば「廃棄物」だったものが、別の生きものから見れば「食べもの」だった。
そんな視点の変化があります。
キエーロに何を入れていいか、とい話はこちらの記事に書きました。
モニターを通して、はっきり見えてきたこと
2年間、実際の家庭で使ってもらって、特に印象に残ったのは、
「臭い」「虫」「使いやすさ」
についてでした。
コンポストいうと、
「生ごみを土に入れたら臭くならないの?」
「虫がわかない?」
という心配をする人が多いと思います。
私も、キエーロを知らない人に説明するときには、必ず聞かれます。
ところが、モニターの結果から見えてきたのは、少し違う姿でした。
キエーロは、基本的な使い方を守れば、臭いはかなり抑えられる。
そして、虫についても、
「キエーロだから虫が必ず出る」というわけではなく、条件によって発生しやすくなるものがあり、対策することでかなり避けられる。
ということです。
そしてもう一つ。
使い方は、それほど難しくない。
これは、長期間使い続けるうえで、とても大切なことだと思います。
「続く」ということは、案外大事なこと
生ごみ問題を考えるとき、つい、
「どんな方法なら生ごみをたくさん処理できるか」
という性能の話になりがちです。
でも、家庭から毎日出る生ごみを減らしていくには、
「その人が無理なく続けられるか」
ということも同じくらい大切なのではないでしょうか。
毎日忙しい人が、特別な作業をしなければならない方法を何年も続けるのは、なかなか大変です。
その点、キエーロは、
生ごみを入れて、
土と混ぜて、
土をかぶせる。
基本的には、それだけ。
この「大げさじゃない感じ」が、長く続く理由なのかもしれません。
30人の暮らしから見えてきたもの
今回のモニターで私が面白いと思ったのは、キエーロそのものだけではありません。
同じものを使っていても、家庭によって使い方が少しずつ違うこと。
困ったときには、それぞれ工夫していること。
そして、実際に使ってみることで、
「思っていたより簡単だった」
ということに気づく人がいること。
やっぱり、こういうことは実際にやってみないとわかりません。
キエーロについてネットで調べれば、使い方も、メリットも、いろいろ出てきます。
でも、10か月間、普通の家庭で使ってみたらどうだったのか。
そこには、説明書だけではわからないリアルがあります。
今回から数回にわたって、そのモニター結果を紹介していきます。
次回は、キエーロを使うときに多くの人が気になる、
「虫」
について。
モニターの実際の結果から見ていきたいと思います
参考記事:・キエーロはどうやって手に入れる?



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