田んぼや水辺に、すっと背の高い葉を伸ばしている植物があります。
真菰(マコモ)です。
名前は聞いたことがあっても、実際にどんな植物なのか、どんなふうに育つのかは、意外と知らない人も多いのではないでしょうか。
私も以前から真菰には興味がありました。
そして今年、実際に育ててみることに。
育ててみると、思っていた以上におもしろい植物でした。
水を張ったタライの中で育てていたら、いつの間にかカエルやオタマジャクシまでやってきた。
そして夏には、水切れで枯れかけてしまったのですが、枯れた茎の脇から新しい茎が出てきて、見事に復活。
「真菰って、こんなに強い植物なんだ!」
と、実際に育てたからこそ感じることができました。
今回は、真菰とはどんな植物なのか、育て方や利用法、そして私の栽培記録をご紹介します。
目次
- 真菰とは
- 真菰の育て方
- 真菰の利用法
- 私の真菰栽培記録
- 枯れかけた真菰が復活した
1.真菰とは
真菰(マコモ)は、イネ科マコモ属の多年草です。
学名は Zizania latifolia。
田んぼや湿地、湖沼のほとりなど、水分の多い場所に生育しています。
細長い葉を大きく広げながら成長し、条件がよければ人の背丈をはるかに超えるほどになります。
見た目は大きなイネのようでもありますが、実際に育ててみると、その存在感はかなりのもの。
水辺に群生している真菰を見ると、「昔の日本では、こういう植物がもっと身近にあったんだろうな」と感じます。
マコモダケは真菰の茎
真菰について調べると、「マコモダケ」という名前も出てきます。
マコモダケは、真菰の茎の根元が肥大したものです。

真菰に黒穂菌の一種が寄生することで茎が肥大し、食用になります。
名前に「タケ」とついていますが、竹の仲間ではありません。
シャキシャキとした食感で、クセが少なく、炒め物や天ぷら、きんぴらなど、さまざまな料理に利用できます。
真菰を育てる楽しみのひとつは、このマコモダケを収穫できることでもあります。
2.真菰の育て方
真菰は、普通の野菜とは少し違います。
何より特徴的なのは、水を好む植物だということ。
自然界では、湿地や水辺などで育っています。
そのため、乾燥しやすい普通の畑よりも、水分を保てる場所のほうが向いています。
日当たりのよい場所で
真菰は日当たりのよい場所を好みます。
水分が十分にあり、日当たりのよい環境なら、ぐんぐん成長します。
ただし、真菰はかなり大きくなる植物。
最初は小さな苗でも、成長すると葉が大きく広がります。
植えるときは、成長した姿を想像して、ある程度のスペースを確保しておくほうがよさそうです。
水を切らさない
真菰を育てるうえで、私が実際に育ててみて一番実感したのが、水の大切さでした。
真菰は水辺の植物なので、乾燥には注意が必要です。
「水辺の植物なんだから、水を張っておけば大丈夫」
と思っていたのですが、実際には夏の暑さの中で水が減り、私の真菰も一度、かなり枯れかけてしまいました。
この経験については、後ほど詳しく書きます。
タライでも育てられる
真菰というと、広い田んぼや湿地が必要なイメージがあります。
ところが、私の場合はタライで育てています。
バケツで育てる人もいるようです。
大きな水場がなくても、工夫すれば身近な場所で真菰を育てることができる。
これは実際にやってみて面白かったところです。
もちろん、真菰は大きくなる植物なので、容器で育てる場合もある程度の大きさが必要です。
3.真菰の利用法
真菰は、昔から食用だけでなく、さまざまな形で人の暮らしに利用されてきた植物です。
マコモダケを食べる
一番わかりやすいのが、マコモダケです。
秋頃になると、条件が整えば茎の根元が膨らんできます。
これがマコモダケ。
皮をむいて調理すると、シャキシャキとした食感を楽しめます。
炒め物や天ぷら、きんぴらなどに向いています。
この前、町中華のお店で「豚肉とマコモダケの炒め物」というメニューがあったので、
注文してみました。
柔らかなタケノコみたいでくせがなく、美味しくいただきました。
秋には、こんな美味しいマコモダケが収穫できるでしょうか?
できたらいいな。
これからが楽しみです。
葉を暮らしに利用する
真菰は葉も大きく、昔からさまざまな用途に利用されてきました。
敷物や編み物など、植物の繊維を暮らしの道具として使う文化もあります。
現代の暮らしでは、植物を「食べるもの」として見ることが多いですが、真菰は食べるだけではなく、植物そのものを暮らしに取り入れてきた歴史があります。
神事や日本の文化との関わり
真菰は、日本の文化や神事とも深い関わりを持つ植物です。
古くから神聖な植物として扱われてきた地域もあり、行事などで使われることがあります。
出雲大社では、毎年6月1日には「真菰祭り」が行われ、青々としたマコモを敷いた上を神職の方が歩くのだそうです。
いつか、行ってみたいなー。
こうした背景を知ると、真菰は単なる水辺の植物でも、マコモダケを採るための植物でもないことがわかります。
日本人の暮らしの中で、長いあいだ大切にされてきた植物なのです。
4.私の真菰栽培記録
ここからは、実際に私が真菰を育てた記録です。
4月――真菰がやってきた
今年の4月、真菰を10株ほど分けてもらいました。

10株を5株ずつに分けて、2つのタライに植えることにしました。
田んぼのような環境をイメージして、タライに土を入れて水を張りました。
その土の中に、マコモの苗をぎゅっと入れるだけ。

「これで真菰が育つのかな?」
最初はそんな感じでした。
何しろ、真菰を育てるのは初めてです。
6月――10株とも無事に根付いた
しばらくすると、真菰は少しずつ成長を始めました。
6月には、10株すべてが無事に根付いてくれました。
小さかった苗が、少しずつ葉を伸ばしていく。
その姿を毎日見るのが楽しくなってきました。
そして、もうひとつ嬉しい変化がありました。
真菰のタライが小さな生きものの住処に
水を張ったタライには、いつの間にかオタマジャクシやカエルがやってくるようになりました。

実は、それはそれはたくさんのカエルたちが住んでいて、ちょっと引いてしまうくらいだったのです。
でも、なんだかうれしかった。
最初は「真菰を育てるための容器」だったはずなのに、気がつけば、そこに別の生きものが暮らしています。
真菰が育つ。
水がある。
そこにカエルがやってくる。
そんなふうに、ひとつの植物を育てたことから、小さな生態系のようなものができていく。
これが、真菰を育てていて特に面白いと感じたことでした。
植物は、植物だけで存在しているわけではない。
そんな当たり前のことを、目の前で見せてもらったような気がします。
5.枯れかけた真菰が復活した
ところが、夏になって問題が起きました。
8月。
気を付けていたつもりだったのに、暑さでタライの水が減り、真菰が水切れを起こしてしまったのです。
地面がひび割れて、葉や茎が枯れ始めていました。

「これはもうダメかもしれない」
正直、そう思いました。
せっかくここまで育ててきたのに……。
「ごめんね」と言いながら、水を足しました。
ところが。
しばらくすると、枯れた茎の脇から、新しい茎が出てきたのです。

枯れたように見えた真菰の株の横から、また新しい生命が伸びてきました。
そして、少しずつ復活。
これには驚きました。
真菰って、こんなに強いんだ。
育てる前は、真菰について「水辺に生える植物」「マコモダケが食べられる植物」というくらいの認識でした。
でも、実際に育ててみると、その印象が変わりました。
思っていた以上に生命力の強い植物です。
もちろん、水を切らしても大丈夫という意味ではありません。
水辺を好む植物なので、水切れには気をつける必要があります。
それでも、一度枯れかけたように見えた株から、新しい茎が出てきたことには、植物のしたたかさと強さを感じました。
古代の人もマコモが持つ、その強さとしなやかさを愛したのかもしれません。
真菰を育ててわかったこと
真菰を育ててみて、いちばん面白かったのは、単に「植物が大きくなった」ということではありませんでした。
真菰を植えたら、水が生まれ。
水があることで、カエルやオタマジャクシがやってきて。
真菰自身も、暑さで枯れかけながら、そこからまた新しい茎を伸ばした。
植物をひとつ育てることが、別の生きものとのつながりにつながっていく。
そんな様子を見ることができました。
私が自然農や植物を育てることに惹かれるのも、きっとこういうところなのだと思います。
「育てる」というより、そこにある生命の動きを見せてもらう。
真菰は、そんなことを教えてくれる植物なのかもしれません。
まだ、私の真菰栽培は始まったばかり。
これからマコモダケができるのか。
さらにどこまで大きくなるのか。
また、真菰の周りにはどんな生きものがやってくるのか。
これからも観察を続けていきたいと思います。
真菰がどんなふうに育っていくのか、その続きをまたここでご紹介します。
「コモ」と「マコモ」がつながった
そういえば、私の家では、お盆になると「コモ」を使います。
先祖の霊が帰ってくるお盆。
そのときに、あの世へ持って帰ってもらうお土産を包むためのものです。
毎年、お盆が近づくと「コモを買ってきて」と言われ、買うのが私の仕事。
ところが今年、真菰を育て始めて、ふと気がつきました。
「このコモって、もしかしてマコモのことじゃない?」
調べてみると、真菰は昔から、敷物や編み物などの材料として利用されてきた植物です。
お盆の行事でも真菰が使われています。
毎年、お盆になると買っていた「コモ」。
今年初めて、それが真菰とつながりました。
真菰という、今まであまり知らなかった植物を育て始めたつもりが、実は私はずっと前から、その植物を使ったものを暮らしの中で見ていたのです。
知らない植物を育て始めたと思ったら、実はずっと自分の暮らしの中にあった。
そんなことに気づいたのも、今年、真菰を育ててみたからでした。



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