キエーロを使っていると、だんだん気になってくることがあります。
「これって、キエーロに入れていいのかな?」
ご飯や野菜くずはもちろん大丈夫そうだけれど、汁物は?
肉や魚は?
腐ってしまったものは?
卵の殻は?
鶏の骨は?
結論からいうと、キエーロにはかなりいろいろな生ごみを入れることができます。
汁物も、肉や魚も、食べ残しも、腐ってしまったものも大丈夫です。
ただし、ここで一つ知っておきたいことがあります。
「入れられる」と「すぐに分解される」は、同じではありません。
キエーロの中では、土の中の微生物が生ごみを分解しています。
そして、分解されやすいものと、なかなか分解されないものがあります。
使っているうちに、その違いがだんだん見えてきます。
- 微生物は「食べる」のではなく、分解して利用する
- ご飯やパン、肉や魚は分解されやすい
- 「おいしいもの」ほど分解されやすい?
- 意外と生野菜は消えにくい
- 野菜の皮が消えにくいのは、植物が自分を守っているから
- 人参のヘタやキャベツの芯も、なかなかしぶとい
- 卵の殻は入れられる。でも、私は入れない
- 玉ねぎの茶色い皮も同じ
- 種が分解されないのも、考えてみれば当たり前
- 鶏の骨は残る。でも、肉はきれいになくなる
- 鶏の骨は残る。でも、魚の骨は意外と早い
- 「骨だから残る」ではなく、それぞれ違う
- 貝殻が残るのも、当たり前
- 分解されにくいものには、それぞれ理由がある
- 「何を入れていい?」から、「これはどういうもの?」へ
- キエーロは「何でも消す箱」ではない
微生物は「食べる」のではなく、分解して利用する
微生物のことを説明するとき、私たちはつい「微生物が生ごみを食べる」と表現します。
そのほうがイメージしやすいからです。
でも、もちろん微生物に人間のような口があるわけではありません。
微生物は、周囲の有機物に酵素などを作用させて、分解された物質を取り込み、自分の生命活動に利用しています。
だから、キエーロの中で起きていることを正確に言えば、
微生物が生ごみを「分解して利用している」
ということになります。
そして、微生物にとっても、分解しやすいものと、分解に時間がかかるものがあります。
ご飯やパン、肉や魚は分解されやすい
キエーロに入れて、比較的早く分解されるのが、ご飯や麺、パンなどです。
肉や魚などのたんぱく質も、しっかり分解されます。
「肉なんて入れたら臭くなるのでは?」
と思うかもしれません。
でも、きちんと土の中に埋めて、土と混ぜてやれば、肉や魚も分解されます。
汁物も大丈夫です。
残ってしまった味噌汁やスープなども、キエーロに入れられます。
そして、意外とありがたいのが、腐ってしまったものも入れられることです。
冷蔵庫の奥から出てきた、ちょっと残念な野菜。
食べようと思っていたけれど、気づいたら傷んでしまった食品。
人間には「もう食べられないもの」でも、微生物にとっては分解できる有機物です。
そう考えると、生ごみの見え方もちょっと変わってきます。
「おいしいもの」ほど分解されやすい?
キエーロを使っていると、ちょっと面白い傾向が見えてきます。
ご飯やパン、肉や魚など、栄養があって比較的分解しやすいものは、早く姿がなくなっていきます。
一方で、繊維質の多いものや硬いものは、なかなか消えません。
まるで人間の食事のようですが、もちろん微生物が「おいしい」と感じているわけではありません。
微生物にとって利用しやすいもの、分解しやすいものがある。
そう考えると、キエーロの中で起きていることが少しわかりやすくなります。
意外と生野菜は消えにくい
ところが、「野菜ならすぐに土に還るだろう」と思っていると、意外なものが残ります。
それが、生の野菜です。
特に繊維のしっかりしたものは、結構長く残ります。
何日か後に土を掘ってみると、
「あれ、まだある」
ということがあります。
人間にとっては柔らかく食べられる野菜でも、植物そのものは、簡単に壊れてしまっては困ります。
植物には、自分の体を守るためのさまざまな仕組みがあります。
野菜の皮が消えにくいのは、植物が自分を守っているから
野菜の皮や表面は、植物にとって大切な防御壁です。
虫に食べられたり、病原菌に侵されたり、乾燥したりすることから、中身を守っています。
もし植物の表面が簡単に分解されてしまったら、植物は自分の体を守ることができません。
だから植物は、丈夫な組織や、分解されにくい成分を持っています。
人間から見れば「野菜の皮」。
でも植物からすれば、自分の身を守るための大切な部分なのです。
そう考えると、キエーロの中で野菜の皮がなかなか消えないことも、少し違って見えてきます。
「微生物が分解してくれない」のではなく、
「植物がちゃんと自分の身を守っていたんだな」
とも考えられるのです。
人参のヘタやキャベツの芯も、なかなかしぶとい
さらに、キエーロに入れると意外と残るのが、人参のヘタやキャベツの芯などです。
これも面白いところです。
人間にとっては、料理をするときに切り落としてしまう部分。
でも植物から見れば、そう単純な「捨てる部分」ではありません。
人参のヘタには、条件が合えばそこから再び葉を伸ばすことのできる組織が残っています。
キャベツの芯は、葉が集まる中心部分です。
つまり、植物にとって重要な組織なのです。
野菜の皮が「外から身を守る」ものだとしたら、ヘタや芯には「成長するための仕組み」が残っています。
もちろん、「成長点だから分解されない」と単純に言い切れるわけではありません。
組織の密度や構造、含まれている成分など、いくつもの理由があります。
それでも、
「人間が捨てている部分にも、植物にとってはまだ役割がある」
と考えると、なかなか面白いのです。
卵の殻は入れられる。でも、私は入れない
では、卵の殻はどうでしょう。
キエーロに入れることはできます。
そして、最終的には分解されます。
ただし、とても時間がかかります。
卵の殻は硬いので、キエーロの中に長く残ります。
そのため、掘り返したときに細かくなった殻がいつまでも見つかったりして、キエーロの中でちょっと邪魔になります。
「入れてはいけない」ということではありません。
使う人が気にならなければ、入れてもいい。
でも、私は入れません。
分解されるまで長くかかるものを、わざわざ入れなくてもいいかなと思うからです。
キエーロは「入れられるもの」と「入れたほうが使いやすいもの」が、必ずしも同じではありません。
玉ねぎの茶色い皮も同じ
もう一つ、意外としぶといのが、玉ねぎの外側の茶色い皮です。
これも入れることはできます。
そして、こちらも最終的には分解されます。
でも、やっぱり時間がかかります。
薄くて軽いので、すぐに消えそうに思うのですが、キエーロの中ではなかなか姿がなくなりません。
これも、入れてはいけないわけではありません。
「私は入れたい」という人は入れてもいい。
でも、私は卵の殻と同じく、わざわざ入れなくてもいいものだと思っています。
キエーロを使いやすくするという意味では、私は取り除いています。
このあたりは、決まりというより、実際に使ってみて自分で判断する部分なのだと思います。
種が分解されないのも、考えてみれば当たり前
さらに面白いのが、野菜や果物の種です。
種は、基本的に分解されません。
でも、これも考えてみれば当たり前です。
種は、土の中に入って、そこから新しい植物になるためのものです。
土の中で種までどんどん分解されてしまったら、植物は次の世代を残せません。
だから種には、自分を守る仕組みがあります。
キエーロの中で種が残っているのを見ると、
「どうして消えないんだろう?」
と思います。
でも、
「消えないようにできているから」
と考えると、むしろ自然なことに思えてきます。
鶏の骨は残る。でも、肉はきれいになくなる
では、鶏の骨はどうでしょう。
これもキエーロに入れることができます。
ただし、骨そのものはなかなか分解されません。
しばらくすると、土の中からカラカラになった骨が出てくることがあります。
でも、よく見ると、骨についていた肉はきれいになくなっています。
つまり、
骨は残るけれど、その周りの肉は分解される。
最後に残った骨を取り出せばいいのです。
「全部消える」のではなく、
分解されるものと、長く残るものがある。
これもキエーロの面白いところです。
鶏の骨は残る。でも、魚の骨は意外と早い
骨といえば、もう一つ面白い違いがあります。
動物の骨は長く残りますが、魚の骨は意外と早く分解されます。
もちろん魚の種類や骨の大きさなどによって違いはありますが、魚の骨は哺乳類などの骨に比べて、比較的軽く、構造も違います。
魚が水の中で暮らすためには、体を水中で支える仕組みが必要です。
魚の骨が比較的軽いことも、こうした魚の体のつくりと関係しています。
そのため、キエーロに入れた魚の骨は、鶏などの骨に比べると、ずっと早く姿がなくなっていきます。
魚をよく食べる家庭にとって、これはかなり便利です。
そして、キエーロを使っている人の中には、釣りをする人にもおすすめしたいと思うような使い方をしている人がいます。
釣った魚を家でさばくと、骨や内臓が出ます。
以前は、それを袋に入れて冷凍庫に保管していたそうです。
生ごみの日まで臭わないようにするためですが、家族からすると、
「なんで冷凍庫に魚の骨や内臓を入れるの?」
となりますよね。
ところが、キエーロがあれば、その問題がなくなります。
さばいた魚の骨や内臓を、そのままキエーロへ。
冷凍庫に「次のごみの日まで保管しておく場所」を作る必要がなくなります。
これは、実際に釣りをする人にとっては、かなり大きなメリットではないでしょうか。
「骨だから残る」ではなく、それぞれ違う
こうして見ると、「骨は分解されない」と一言で言うこともできません。
鶏などの動物の骨は長く残る。
一方で、魚の骨は比較的早く分解される。
そして、鶏の骨も、骨そのものは残っても、周りについていた肉はきれいになくなります。
つまりキエーロの中では、
「骨」という一つのカテゴリーで考えるより、どんな骨なのか、その構造や性質によって分解される速さが違う
と考えたほうがよさそうです。
生ごみを一つひとつ観察していると、こんな違いまで見えてきます。
そして、それは単なる「ごみ処理の知識」ではありません。
魚は水の中で生きるための体を持っている。
鳥や哺乳類は、陸上で体を支えるための骨を持っている。
それぞれの体のつくりには、その生きものが生きてきた環境や暮らしが反映されています。
キエーロに入れた骨が「どのくらいでなくなるか」を見ているだけなのに、いつの間にか、生きものの体のつくりにまで興味が広がっていく。
これも、キエーロの面白さの一つです。
貝殻が残るのも、当たり前
貝殻も、キエーロに入れてもほとんど分解されません。
これも、考えてみれば納得できます。
古代の貝塚には、何千年も前の人たちが食べた貝の殻が残っています。
それほど貝殻は分解されにくいものなのです。
キエーロの中で数週間、数か月たったくらいで、跡形もなく消えるはずがありません。
貝殻もまた、貝の体を守っていたものです。
分解されにくいものには、それぞれ理由がある
こうして並べてみると、ちょっと面白いことに気づきます。
野菜の皮。
人参のヘタやキャベツの芯。
種。
卵の殻。
玉ねぎの皮。
鶏の骨。
貝殻。
これらは、キエーロの中で分解に時間がかかったり、長く残ったりするものです。
でも、ただ「分解されにくい」のではありません。
植物の皮は、体を守るため。
ヘタや芯には、成長に関わる大切な組織がある。
種は、次の命を残すため。
卵の殻や骨、貝殻も、それぞれ生きものの体を守る役割を持っています。
そう考えると、分解されにくさそのものが、生きものの工夫の跡にも見えてきます。
「何を入れていい?」から、「これはどういうもの?」へ
キエーロを使い始めたばかりの頃は、
「これは入れていいですか?」
と、一つひとつ確認したくなります。
もちろん、最初はそれでいいと思います。
でも、使っているうちに、だんだん質問が変わってきます。
「これは入れていい?」
ではなく、
「これは、どのくらいで分解される?」
さらに、
「なぜこれは分解されにくいんだろう?」
と考えるようになります。
すると、生ごみが単なる「捨てるもの」ではなくなってきます。
これは微生物が分解しやすいのか。
これは繊維が多いから時間がかかるのか。
これは植物が自分を守るためのものなのか。
これは次の命を残すためのものなのか。
そんなふうに、生ごみを見る目が少しずつ変わっていきます。
キエーロは「何でも消す箱」ではない
キエーロの魅力は、何でも跡形もなく消してしまうことではありません。
いろいろな生ごみを受け入れて、土の中の微生物が分解できるものから分解していく。
そして、分解に時間がかかるものは残る。
それでいいのです。
私たちが「生ごみ」とひとまとめにしているものも、実際には一つひとつ性質が違います。
ご飯も、野菜も、魚も、骨も、種も、貝殻も、みんな違う。
キエーロを使っていると、その違いが土の中で見えてきます。
そして、そこから少しずつ、
「土の中には、私たちの知らないたくさんの生きものが暮らしている」
ということが実感できるようになります。
生ごみを処理するために始めたキエーロ。
でも、使っているうちに、いつの間にか微生物のことを考え、植物のことを考え、命の仕組みまで考えるようになる。
それが、キエーロの面白さなのかもしれません。
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